不動産売却において、手紙(DM)を利用したいと思う企業は少なくないでしょう。手紙(DM)は非常に効果的な手段ですが、適切な手順や注意点を踏まえないと、逆に失敗につながることもあります。
本記事では、不動産売却における手紙(DM)の利用メリットや具体的な例文などを詳細に解説しています。さらに、手紙(DM)を作成する際の注意点にも焦点を当てていますので、ぜひ参考にしてください。
目次
不動産売却において手紙(DM)は効果がある
不動産売却おいて、手紙(DM)は効果のある方法です。DMとは、顧客や見込み客に対して、宛名を明記して直接送付される広告(手紙)のことをいいます。
不動産売却(売買)においてDMが有効な理由は、開封率が高いことです。日本ダイレクトメール協会が掲出するデータによれば、不動産関連のDMの開封率は75%を超えていることがわかっています。
※参考:一般社団法人 日本ダイレクトメール協会「一般社団法人 日本ダイレクトメール協会」
不動産売却において手紙(DM)を活用するメリット
不動産売却において、手紙(DM)を活用することにはどのようなメリットがあるのでしょうか。DMのメリットを解説します。
顧客の興味を引きやすい
手紙(DM)は情報やメッセージを複数回にわたって伝えられる手段で、デザインや内容によっては興味を引きやすいという特長があります。
誰しも、最初は興味がなかったものでも何度も見ると興味が出てくるものです。これを心理学では単純接触効果(ザイオンス効果)と呼びます。複数回の手紙(DM)で単純接触効果を発揮できる点でDMは効果的です。
長期間の訴求によって効果が出やすい
手紙(DM)は、長考が必要な内容についても効果が出やすい手法です。
不動産関連の売買はすぐに決められる内容ではなく、長期間悩んで対応を決めるのが一般的です。たとえば、Eメールで案内をしても、メールが破棄されてしまえば申し込みにはつながりません。その点、手紙(DM)は興味をもった顧客が保管するケースもあり、長期間の訴求が可能です。粘り強く訴求し続ければ効果が出やすい方法といえるでしょう。
不動産売却における手紙(DM)の作成手順
不動産売却において、手紙(DM)を作成する際は、以下のような手順で行うのがおすすめです。
ターゲットやゴールを明確にする
顧客情報を把握したうえで、まずは手紙を送るターゲットを明確にします。性別や年齢層、社会的背景などでターゲットをカテゴリー分けしたら、手紙(DM)を送信する際に達成したい目標を設定しておくことも忘れないようにしましょう。
このあと手紙(DM)を作成する際は、目的にあった内容で作成する必要があります。
手紙(DM)の種類を選ぶ
手紙(DM)のタイプや寸法は柔軟に設定できるため、それぞれの特長を理解して適切なものを選ぶことが重要です。
紙媒体の手紙(DM)には、はがき・封筒の2つの種類が存在しています。それぞれのサイズや特長は以下のとおりです。
| はがき | 封筒 | |
|---|---|---|
| サイズ | 100mm×148mm※ただし大判サイズや圧着はがきもある | 長3封筒:120mm×235mm角2封筒:240mm×332mm・・・など |
| 特長 | ・封筒を開封しなくてもいいため内容を見てもらえる可能性が高い・作成費や配送料などがリーズナブル | ・個人宛の繊細な内容も記載できる・高級感が出る・ノベルティなどを同封できる |
はがきも封筒もどちらがよいということではなく、特徴を活かした使い方をすることが大切です。
ターゲットを基準に内容を作成する
ターゲットや手紙(DM)の種類・サイズが確定したら、顧客の関心を引くようなDMを制作します。このとき、ターゲットとなっている人たちはどのような内容なら興味があるかをよく考えましょう。
不動産の場合は、物件を買いたいのか、売りたいのか、また既存顧客か見込み客かなど、顧客の属性によっても異なります。
不動産売却において手紙(DM)を作成する際のコツ
不動産売却の場合、手紙(DM)を作成する際には以下のようなコツがあります。念頭に置いて手紙の内容を作成しましょう。
思わず開封してしまうようなタイトルにする
手紙(DM)のタイトルは、内容が即座に理解でき、開封したいという気持ちを喚起するようなタイトル(キャッチコピー)であることが大切です。
封筒の場合は、タイトルが不明瞭だと未開封のまま捨てられてしまうかもしれません。ハガキの場合、開封する必要がないので目に触れる機会は多いですが、タイトルに興味を惹かれなければよく読んでもらうことはできないでしょう。
信頼感・特別感のある内容にする
不動産売買において、関与する企業や担当者に対する印象や信頼感は重要です。手紙(DM)の文面やデザインも信頼性を考慮したうえで作成しましょう。
また、顧客が手紙(DM)に対して特別な体験であると感じるように、文章では原則、一貫して個人の名前や「あなた」という言葉で呼びかけを行います。わざわざ自分にだけ特別な案内が送られていると感じてもらうことが大切です。
顧客が知りたい情報を出し惜しみしない
手紙(DM)の内容としては、できるだけ情報を充実させ、問い合わせを促すように心がけます。
内容が全て書かれていないほうが、問い合わせにつながるのではないかと考えるかもしれませんが、実際にはそうではありません。内容が充実しているからこそ顧客が興味をひかれ、興味をひかれることによって問い合わせたい事項が生じるといえます。
他社と差別化できる内容にする
自社の手紙(DM)を受け取り、手に取って開封してもらうためには、他社のDMとの差別化が不可欠です。
例えば、四角ではないイレギュラーな形のハガキや封筒を使う方法があります。ノベルティなど、モノを同封するのも効果的でしょう。封筒の表面に箔押しなどの特殊加工を施すことでも、ラグジュアリーな雰囲気を出せるため顧客の興味を惹くことにつながります。
ターゲットの不安解消に繋がる内容にする
高額な不動産取引においては、手紙(DM)の内容がターゲットの不安を解消するものであるかどうかも重要です。
したがって、ターゲットがどのようなことを不安に思いやすいのかを意識し、これに対して回答になるような文言を含めると効果的でしょう。
不動産売却における手紙(DM)の基本例文
不動産売却は、顧客にとって重要な判断事項です。顧客が安心できなければ売却を委ねてもらうことはできないため、実績を示し信頼性のある企業であることを強調する必要があります。
不動産売却の件で手紙(DM)を出したいとき、一般的には以下のような例文がおすすめです。
『はじめまして。○○不動産の××と申します。
弊社は○○エリアを中心に、○○年にわたって不動産仲介を承っております。地域密着型の不動産会社で、これまで多くの方にご利用いただいてまいりました。
この度は、▲▲様が○○エリアに所有されております不動産につきまして、売却のご予定をお伺いしたく、お便りを差し上げました。
○○エリアの不動産は近年、人気の高まりを見せており、弊社でも購入のご希望をすでに複数いただいております。
もしも売却のご予定がございましたら、ぜひお気軽にご相談くださいませ。』
タイトル(キャッチコピー)の例文
手紙(DM)のタイトルは内容を読んでもらえるかどうかを左右する重要なポイントです。顧客の興味を引くタイトルには、たとえば以下のような表現ができます。
・○○エリアの不動産をお持ちの▲▲様
・人気の○○エリアで不動産をお持ちの▲▲様
・ご自宅の売却をご検討中の▲▲様
・住み替えをご検討中の▲▲様
・マンションへの住み替えをご検討中の▲▲様
基本的には、顧客の個人名などを入れて個別の手紙である点をアピールします。本来は不動産売却の手紙ですが、住み替えを前面に出し、おすすめできる新しい物件の特徴をタイトルに入れることで、売却の動機をつくることもできます。
顧客状態に合わせた手紙(DM)の作成方法と例文
ここでは顧客の状態別に、手紙(DM)の作成方法やおすすめの例文をご紹介します。
潜在顧客への手紙(DM)
不動産売却をまだ検討していない顧客を潜在顧客といいます。潜在顧客には、不動産を売却する動機づけから行う必要があるでしょう。例文は以下のとおりです。
『はじめまして。○○不動産の××と申します。
弊社は○○県内で不動産仲介業を行っている不動産会社でございます。
この度、人気の○○エリアに不動産をお持ちの▲▲様へ、ぜひ不動産売却をご検討いただけないかと思い、ご連絡を申し上げました。
○○エリアでは近年、○○駅再開発に伴い大変人気が高まっております。弊社でも多くのご縁をいただき、現在も○○エリアの不動産をご希望の方がいらっしゃいます。ぜひ○○様にご納得いただけるご提案ができればと存じます。
不動産売却をご検討の際はぜひお気軽にご相談いただければ幸いでございます。何卒よろしくお願い申し上げます。』
見込み顧客への手紙(DM)
過去に不動産売却の問い合わせを受けたが成約に至らなかった「見込み客」は、所有物件についてすでに売却を検討しているため、成約に近い可能性が高い顧客でもあります。例文は以下のとおりです。
『○○不動産の××でございます。
先日は○○エリアの不動産について、売却のご相談をいただき誠にありがとうございました。
この度は弊社におきまして、○○エリアで物件をお探しのご家族がいらっしゃいましたので、改めましてご売却のご検討をいただけないかと思い、ご連絡を申し上げました。
弊社の○月の事例では、○○エリアでの土地相場は坪単価○○円となっております。▲▲様にご納得いただけるご提案をさせていただければ幸いでございます。』
優良顧客への手紙(DM)
不動産売却において「優良顧客」とは、すでに自社で売却が完了した顧客を指しています。売却が完了しているといっても、次にまた売買で利用してもらえる可能性や、他の顧客に紹介してもらえる可能性があるため、良好な関係を維持する目的で手紙(DM)を送るのは有効な手段です。例文は以下のとおりです。
『拝啓 早春の候 ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
先般は弊社との格別のお取引を賜り、誠にありがとうございました。
今後も引き続き担当者としての責任を全うし、微力ながら▲▲様のお役にたてますよう、誠心誠意精進してまいりますので、末永いお付き合いをお願い申し上げる次第です。
略儀ながら書中をもって御礼申し上げます。3月とはいえまだ寒い日もございます。どうかくれぐれも、お体にお気を付けください』
休眠顧客への手紙(DM)
不動産売却における「休眠顧客」とは、問い合わせがありながらも売却が実現せず、その後一定期間やりとりがない顧客のことです。こうした顧客に不動産売却を促す際、売り込みは逆効果となるためできるだけ避けてください。例文は以下のとおりです。
『先日は弊社へのお問い合わせをいただき、誠にありがとうございました。
その後、○○エリアの不動産につきまして、ご売却のご予定はいかがでしょうか。
今回は弊社にお問い合わせいただきました方へ、不動産売却のコツをまとめた冊子をご用意させていただきました。▲▲様のお役に立てることがあれば幸いでございます。
今後とも○○不動産をよろしくお願い申し上げます。』
不動産売却において手紙(DM)を作成する際の注意点
不動産売却において、手紙(DM)を作成する場合は、以下のような点に留意しましょう。
売り込みすぎない
手紙(DM)の文面では、売却してほしいという強い気持ちが出すぎないように注意しなければなりません。
宣伝が過ぎると、顧客としては利用されていると感じたり、信頼できないと感じたりしてしまうものです。要件ははっきりと伝えつつも、売り込みすぎない表現を心掛けましょう。
ネガティブな内容は入れない
手紙(DM)の文面に、ネガティブな内容は含めないよう気をつけるべきです。たとえ事実であっても、「不況の中で」「先行きが不透明な経済状況」などのネガティブな表現は避けてください。
ネガティブ表現は顧客の不安をあおり、不動産会社を「利用したい」という気分の高まりを抑制してしまいます。結果的に不動産売却につながらないことが多いと考えられます。
不動産以外の話はしない
不動産の購入や売却に関する会話の中で、他のサービス提供についての話題は避けるようにしましょう。
例えば、不動産業者では駐車場経営などに関わっている場合もありますが、売却を話題にしているときに駐車場事業を提案しても話がまとまらないため、結果的に顧客の関心を逃してしまう可能性が高いといえます。
まとめ
顧客に不動産の売却へ踏み切ってほしいときは、手紙(DM)を出して売却のメリットを訴求するのが効果的です。
どう書けばよいかわからないという場合は、すでにご紹介した例文のなかから適切なものを選び、挨拶や内容をカスタマイズしてみてください。
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